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2014年8月10日 (日)

用語解説シリーズ 67回目 「直接波、電離層波」

無線工学で、取っつきにくい定義の一つだと思います。

1 直接波

直接波とは、送信地点から受信地点まで直接届く電波を言います。

これに対して「反射波」は、地表、山岳、建造物などで反射して届く電波を
言います。

「何かで反射して届く電波」と考えれば「電離層反射波」も含みますが、
電波伝搬の話をする上では単純に「反射波」と言った場合は電離層反射波は
基本的に含みません。

VHF,UHF帯では基本的に直接波を使った通信をします。

VHF帯以上は単純に言えば「見通せる距離にしか届かない」「物陰には届かない」
のです。その度合いはUHF,SHF,EHFになるにつれて顕著になってきます。

身近な例では東京タワーの地デジ送信アンテナの位置は地面からおよそ300m、
スカイツリーの場合はおよそ600mの高さに送信アンテナがあります。

サンシャイン60の高さは250m、新宿高層ビル群もそれくらい有りますし、
都庁も一番高いところでは250mを超えています。

どちらの場合も、それぞれから見てサンシャイン60の向こう側、新宿ビル群の
向こう側には地デジの電波は直接届かないところがあります。

仮に東京タワーの位置にスカイツリーを持ってくると、理論上は
サンシャイン60や新宿高層ビル群のビル影になる距離は約半分、面積は四分の一です。


免許を取ったあと、実際に出会う例としては登山等でハンディ機を使う場合も、
樹木等を無視すればお互いが直接見える場合には電波は届きますが、
尾根を挟んだ反対側同士は電波は直接届きません。

富士山で例えれば 山梨側と静岡側は直接届きません。

お互いがビル影になっている場合も通信がしにくいです。

それくらい VHF,UHFの電波は直進性が高いのです。

2 電離層反射波 (電離層波)

短波帯は近距離通信は直接波を使いますが、お互いが見通せない遠距離
になると、上空の電離層と地表とで反射を繰り返す電離層波を使います。
【何回繰り返すかはお互いの距離によって変わります】

電離層反射波での通信状態は季節、時間によって刻々と変わります。
これは電離層の状態が刻々と変わるからですが、今は便利な世の中で、
情報通信研究機構(NICT)のホームページでリアルタイムで電離層の状態の
データを得ることができますので、遠距離通信をしようとする方の中には
参考にしている方も居ます。

3 不感地帯

短波帯において、直接波も電離層反射波も届かない部分が存在します。
この部分を不感地帯と言います。

4 Es スポラディックE層

電離層のE層の高さに、主に夏の昼間に出現する特殊な電離層です。
通常、アマチュアバンドの50MHz帯以上は電離層で反射されることはありません。
関東からだと関東一円と静岡、福島、新潟、長野あたりまでが通達距離です。

ところがEs層が出現すると、北海道、九州、沖縄はもちろん、グアム、サイパン、
韓国、台湾などと通信が可能になります。
このときは、Esが消えないうちに聞こえているところとの交信をしようとして、
「今まで誰も居ないと思っていたのに」と思うくらいの方が出てきます。

それくらいアマチュア無線家にとってはありがたい存在なのですが、
プロの世界では困ったことがおきます。

同じ周波数を使う他地域の放送が聞こえてしまう。
たとえば
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140808-00000001-kobenext-l28
「神戸のKiss FM、突然中国語放送に」は、この典型例です。

消防や警察がアナログ方式だったころ、同じ周波数を使う他地域の警察署や
消防署の通信が聞こえてしまう。

同じ周波数を別地域(それも理論上、通常はお互いに電波が届かない場所同士)で
使っている通信が聞こえてしまう。(トーンスケルチ周波数も割り当て周波数も同じ
簡易業務無線で多発していた)

などはEs層による異常伝搬が原因です。

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