« 用語解説シリーズ 36回目 「特定の相手方」と「通信の相手方」 | トップページ | 記載内容の質問等について »

2013年7月24日 (水)

用語解説シリーズ 37回目 「秘密の保護」

無線局は、その業務を遂行にあたって必要な機能の受信機を備えています。
ところが、受信機を操作すると目的とする通信の相手以外の通信を受信する
場合が有ります。

国際電気通信連合憲章付属無線通信規則(以下「国際法」) 第十八条には、

####

送信局は、その属する国の主管庁が適当な様式で、かつ、無線通信規則に従って
発給する許可書がなければ、個人又はいかなる団体においても、設置し、
又は運用することができない。ただし、無線通信
規則に定める例外の場合は除く。

許可書を有する者は、国際電気通信連合
憲章及び国際電気通信連合憲章の
関連規定に従い、電気通信秘密を守ることを要する。

さらに許可書には、局が受信機を有する場合には、受信することを許可された

無線通信以外の通信の傍受を禁止すること及びこのような通信を偶然に受信
した場合には、これを再生し、第三者に通知し、又はいかなる目的にも使用
してはならず、その存在さえも漏らしてはならないことを明示又は参照の方法
により記載していなければならない。

###

と規定されています。
この規定を受けて、日本では無線従事者免許証と無線局免許状に
通信の秘密の保護に関する文言が記載されています。
他国の無線従事者免許や無線局免許状も同様です。

電波法第五十九条は、この国際法第十八条を受けての国内規定です。
五十九条の「特定の相手方」とは「自局に許された通信の相手以外(放送の受信を除く)」となります。

上記の規定をアマチュア局に適用すると、

アマチュア局同士の通信以外の通信(アマチュア局と放送局以外の通信)を受信した
場合には、その内容や存在を第三者に開示してはならない

となります。

一般論で言い換えれば

「業務の種類を問わず自局の通信相手として許可されていない無線局の通信を受信した時は、その内容の公開は一切禁止。」

と読み替えてください。

アマチュア局同士の交信記録の第三者への公開は、この規則には抵触しません。
もし抵触するとしたら、アマチュア無線でのあらゆるコンテストが成立しませんし、
いわゆる「DXレポート」や「パケットクラスター」の類いも禁止行為になります。

国際法には

「一般公衆に受信されることを目的とする無線(放送)局の通信(放送)以外の公開禁止」

という規定もあります。(放送局は「一般公衆に受信されることを目的とする無線局」です)

#########

暗語や秘匿装置について:

多くの場合は、無線局は その目的に応じて「特定の相手」と「許可された目的のため」に
通信をします。

この「特定の相手」とは、たとえば同一事業者内、同一団体内です。
この場合は「通信の相手として特定した相手」以外に通信内容を理解させないようにする
ために必要に応じて暗語や秘匿装置の使用が許可されています。

アマチュア業務の場合は国際法で暗語と秘匿装置の使用は認められていません。
これを受けて国内法でも同様の規定があります。
(アマチュア無線用人工衛星のコマンド局を除く)
これは
「アマチュア局の通信は、その目的に鑑み、他のアマチュア局に受信されるのが前提」
だからです。

アマチュア業務以外の無線局の場合は、その業務中に扱った通信の内容の漏洩は
電気通信事業に関しては電気通信事業関連法令でも漏洩は禁止されています。
各種業務無線についても その事業者内の社内規定や関連法令で通信内容の漏洩は
禁止されています。

逆に言えば

『「暗語」や「秘話機能」の使用が許可されている』ということは通信内容を第三者に
開示することを認めていない』

となります。

アナログ方式時代の警察無線、消防無線や、国際遠洋電話(日本ではJBO)など、
今ほど秘話機能が発達していなかった時代には容易に受信(傍受)することが可能でした。
そのために、国際法(無線通信規則)で
「自局の業務外の無線通信を受信(傍受)しても他者に言うな・教えるな」が規定されたのです。

この国際法上の観点からは 某出版社の「周波数帳」は

「一般に公開されていない無線通信の存在を教えている」という観点から発禁になっても仕方が無い。

という考えが成立します。実際には発禁にはなっていないですけどね。

国際法、国内法上 一部の無線局(船舶局等)に備え付けが必須とされている、
特定ジャンルの無線局の周波数や識別信号、運用時間を記載した書籍は、
この「存在の漏洩」では在りません。

« 用語解説シリーズ 36回目 「特定の相手方」と「通信の相手方」 | トップページ | 記載内容の質問等について »

アマチュア無線」カテゴリの記事