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2013年4月20日 (土)

用語解説シリーズ 29回目 周波数割り当て

無線局は、その使用する周波数は、無線局の目的によって

国際電気通信連合憲章附属無線通信規則で定める「国際周波数分配表」

と、

その「国際周波数分配表」に基づいて各国の主管庁(日本では総務省)が定める
「国内周波数分配表」に従って使用する周波数を決めなければなりません。

この分配表では、
各周波数帯ごとに一次業務、二次業務として何に使うのかが決められています。

一次業務は、その周波数帯を優先的に使うことができます。

二次業務は、
一次業務に妨害を与えないこと、および一次業務からの混信妨害を容認すること
条件に使うことができます。

1 「国際電気通信連合憲章附属無線通信規則」(以後 「国際規則」での規定。

国際規則を勉強した方ならご存じでしょうが、原本はフランス語です。
これを英語に訳したものが、私の学生時代の英語や国際規則の授業の教科書でした。
各級(総合・海上)無線通信士、航空無線通信士の英語の試験では
その英文そのものや、英文で要約したものが試験問題に使われます。


二次業務に関しては、英文では

http://life.itu.int/radioclub/rr/art05.htm

5.28 3) Stations of secondary service:

5.29 a) shall not cause harmful interference to stations of primary services
to which frequencies are already assigned or to which frequencies
may be assigned at a later date;

5.30 b) cannot claim protection from harmful interference from stations of
a primary service to which frequencies are already assigned or
      may be assigned at a later date;

となっています。

日本語訳の例は ひとつは総務省の電波利用ホームページにあります。

http://www.tele.soumu.go.jp/search/wari/index.htm

の 1(3)イ 

二次業務の無線局は、次の条件に従って開設することを条件に
周波数の割当てを受けることができる。

  周波数が既に割り当てられ、又は後日割り当てられる一次業務の無線局に
 有害な混信を生じさせてはならない。

  周波数が既に割り当てられ、又は後日割り当てられる一次業務の無線局からの
  有害な混信に対して保護を要求してはならない。

となっています。

2 国際周波数分配表、国内周波数分配表

巷で問題になっている、アマチュアバンドの1280MHz帯と
「準天頂衛星」「FPU」「音声レピータの制限」の問題については、
以下の点を考慮しなければなりません。
435MHz帯で使用されているRFIDタグの問題も書いておきます。


(1) 435MHz帯
http://www.tele.soumu.go.jp/cgi-bin/warisearch.cgi?FLOW=430&FHIGH=&HZ=3&TTIP=&as_fid=pKATNHaXxGXRkEZwydgo

435MHz帯は 国際的に(日本が属する「第三地域」では)は 
一次業務 無線標定
二次業務 アマチュア、地球探査衛星(能動)

日本国内では
一次業務 アマチュア
二次業務 地球探査衛星(能動)、無線標定、移動

となっています。

さらに、日本では
「アマチュア局が動作することを許される周波数帯」(総務省告示第126号)
「注3」が付されている周波数帯

「国際周波数分配表に従って運用するアマチュア業務以外の業務の無線局に
妨害を与えない場合に限る」


とされています。

10MHz帯と430MHz帯〜10.5GHz帯のアマチュアバンドには、その注3がついていますが、
そのアマチュアバンドは、

「注3が無い周波数帯以上の厳しさでアマチュア業務以外の無線局への妨害を与えないこと」

を要求されています。

なお、国際的に433.92MHzはRFIDタグが使われています。
主に外国貨物を扱う港湾地域、空港周辺地域での国際貨物倉庫周辺です。
米軍基地周辺でも貨物の管理用タグに使われている可能性があります。
(郵政省告示第42号 第四項 国際輸送用データ伝送)
これに妨害を与えてしまうと、上記告示の注3に抵触する可能性があります。

(2) 1280MHz帯
http://www.tele.soumu.go.jp/cgi-bin/warisearch.cgi?FLOW=1200&HZ=3&TTIP=&WFLOW=1400000000&WHZ=1&BLOK=2

1280MHz帯は 国内も国外(日本が属する「第三地域」では)もアマチュアは二次業務です。

FPU(移動(放送事業用))や準天頂衛星(無線航行衛星(宇宙から地球))一次業務です。

3 電波法第三条は

日本の電波法令と国際規則の規定に差異が有る場合は国際規則を優先する。
国内法に無い規定は国際規則による。


という規定です。

この条文と国際規則によれば、

1280MHz帯は、今後 免許されるであろう準天頂衛星とFPUの無線局に対しては、
国際規則上は、

「準天頂衛星とFPUに対してアマチュア局は混信妨害を与えてはいけない」し、
「準天頂衛星とFPUからの混信妨害からアマチュア局は保護されない」。

アマチュア局は FPUや準天頂衛星の使用に対して1280MHz帯の使用の反対を
することはできないし、FPUと準天頂衛星が運用開始後は、両者からの混信妨害に
文句を言えない。

のです。

4 要望の難しさ

「アマチュア局の既得権」を踏まえれば、どう落としどころをつけるかに
JARLは苦慮していると思います。

総務省も多くのアマチュア局やJARLから要望されているであろう
準天頂衛星やFPUとアマチュア局との共存対応には苦慮しているはずです。

さらにはJARL NEWS 2013年春号 12ページによれば

「JARLは準天頂衛星およびFPUが新規に1280MHz帯のアマチュアバンド中に
割り当てられることに対してアマチュア局に影響が無いように配慮するように
当局に強く要望してきた」

とありますが、

JARLやアマチュア局免許人が行う1280MHz帯への配慮を求める要望は
国際規則の5.30条に反するものであってはならない


のです。

5 罰則規定に注意。

参考までに

FPUに対して混信妨害を与えると、これは放送事業用ですので
電波法第108条の二 により 重要無線通信妨害となり、
250万円以下の罰金または5年以下の懲役刑に処せられます。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO131.html

準天頂衛星は電波法第108条の二の条文には出てきませんが、
治安維持機関や各自治体などが、GPSを補完するために使用する場合は、
これに妨害を与えると、重要無線通信妨害を準用される可能性があります。

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