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2012年10月

2012年10月29日 (月)

地デジ送信 スカイツリー移転延期か?

今朝の毎日新聞の報道から

東京タワー(333メートル)から東京スカイツリー(634メートル)=今年5月開業=への
電波塔移転が、当初予定の来年1月から大きくずれ込む見通しとなったことが
27日、NHKなどへの取材で分かった。
スカイツリーから電波を出した場合、想定以上の障害が発生する恐れが強く、
対策に時間がかかるため。

(以下略)

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目下、深夜にスカイツリーから地デジテレビの試験電波を発射して、
放送区域のあちこちで電界強度が想定通りかどうか測定しているのだそうですが、
想定以上に強い地域があるのだそうです。

アンテナの向きを東京タワーからスカイツリーに変えなければ映らなくなる地域が有る
ことも電波障害だと記事に書かれていますが、
これは当該地域の方の目線でいえば「受信できなくなったこと」自体が「電波障害」になる
からでしょう。

電波に関する知識がある立場で考えれば

「電波の発射点が変わったらアンテナを向け直す必要が有る地域が出てくる」

のは当然のことなのですが、そうとは思っていない方もいることを考慮しての記述でしょう。

スカイツリーに移転することで、送信所が近くなる地域があること、逆に遠くなる地域
があること、スカイツリーの送信波の実効輻射電力が東京タワーとは異なることなどや
高層建築物、大型建築物の位置関係が絡むのでしょう。

電界強度が強すぎることが原因で受信できなくなるのは、
テレビ受像器の高周波増幅段やブースタが「飽和ひずみ」を起こしてしまい、
デジタル符号を正常に復調できなくなることが原因でしょう。

参考までに、現在はFM放送のうちJ-WAVE(81.3MHz)とNHK-FM東京(82.5MHz)は
スカイツリーから送信されています。
東京タワー時代は どちらも空中線電力は 10kWでEIRPは44kWでした。
今はどちらも空中線電力 7kWでもEIRPは57kWと増加しています。

実際に東京23区の北東部では両局の電界強度は東京タワー時代よりも高くなっている
そうです。

在京テレビ局の空中線電力は、たとえば JOAK-DTV (NHK総合)は
総務省電波利用サイトの免許情報検索に拠れば10kW (EIRP 48kW)です。

http://www.tele.soumu.go.jp/musen/SearchServlet?pageID=4&IT=A&DFCD=0002675750&DD=1&styleNumber=01

日テレ、フジ、TBS,テレビ朝日、テレビ東京も同様に検索できますが
関連告示(郵政省告示第661号)では空中線電力は10kWですからEIRPもNHKと同じはずです。
ちなみに東京MXは空中線電力3kW、放送大学は同5kWです。

これがスカイツリーになるとアンテナ高と放送区域を考慮した値になっているそうですが、
NHK-FM(東京)とJ-WAVEを参考にすれば、おそらくはEIRPが上がっているのでしょう。
記事に拠れば送信アンテナの地上高は東京タワーよりも200m以上高くなっているそうです。

今のご時世、パソコンで十分にシミュレーションして空中線電力とEIRPを決めたはずですが
どうやら想定以上に電界強度が高い地域があるようです。

2012年10月28日 (日)

用語シリーズ 16回目 周波数帯からの逸脱

アマチュア局が発射する電波は、アマチュアバンドから逸脱してはいけません。
(無線局運用規則 第257条)

ここで、7Mz帯が拡張する前は7099kHz、今は7199kHzに愛好家が集まる理由を
考えてみましょう。

1 7MHz帯でSSBを使う場合は国際的な慣習でLSBを使います。

2 SSB電波(J3E)の占有周波数帯域幅は3kHz以内です。(無線設備規則による)

3 一般的にアマチュア無線機の表示周波数は搬送波周波数です。

これにより 理論上は 現在は 7200kHzの表示でLSB電波を発射しても
周波数偏差がゼロ(標準周波数局よりも高精度でぴったり合わせる)ならば
OKなのですが、実際には温度変動、電源電圧変動、経年変化などで
周波数偏差が発生します。
高い方にずれれば当然側波帯の逸脱が生じますが、それは絶対に許されません。

アマチュア局の許容周波数偏差は無線設備規則第5条、別表第1号により
1.9Mz帯以上は「100万分の500」ですので、

7MHz帯ならば 7,000,000Hz ×500 ÷1,000,000= 3,500(Hz)

となり、3.5kHz以内です。

ここでアマチュア局に備え付けるべき測定機の許容誤差は電波法第31条により
短波帯以上を測定するには「100万分の250」(0.025%)ですので、

「7MHz帯を測定した場合には、1.75KHz以内の誤差であること」が要求されます。

また、TS-520などのアナログVFOの機器の場合は1kHz単位でしか周波数を
読み取れません。(外付け周波数カウンターを使ったりした場合は別)

「これらを考慮して1kHzのマージンを取った結果、 7099kHzや7199kHzを使うようになった」

と考えられます。

現在ではメーカーでかなりな高精度で調整していますが、この慣習を踏襲しています。
また、私もTS-520Vを現用していますが、アナログVFOですし1kHz単位でしか
直読できませんから、1kHzのマージンは、ある意味で理にかなっていると思います。

さらに現在は電波型式毎に周波数使用区別が定められています。
(無線局運用規則第258条の2、総務省告示第179号)この使用区分外に
側波帯が逸脱するのも基本的にダメです。

なお総務省告示第179号の注20によれば区分の上限は範囲に含むが下限は含みません。
これは搬送波周波数で考えますが、実状としては占有周波数帯域幅を考慮して、
特にAM系とFM系の境界付近ではお互いに復調できないので注意が必要です。
(AMのスロープ検波で強引にFM電波を復調する手段は考慮していません)

当然 アマチュアバンドの上限と下限近辺ではアマチュアバンド外に側波帯が逸脱する
事が無いよう、十分な注意が絶対条件です。特にFM系では、

たとえば439.99MHzのF3E電波をダウンリンクに使うを使うレピータ局は
周波数が上に2kHz以上ずれることは、F3E電波の占有周波数帯域幅許容値は
16kHz以内ですから搬送波周波数を中心に上下に8kHzの側波帯があることを考えると
絶対に有ってはいけないのです。(もちろん一般のアマチュア局にも同じことが言えます)

2012年10月 8日 (月)

用語シリーズ 第15回目 「暗語」

アマチュア局の通信には「暗語」は使えません。(電波法第五十八条)

では「暗語とはなんぞや」ですが、これは一般的には 「通信している当事者しか判らない言葉」です。

似たようなもので「秘匿性」があります。
こちらは無線設備規則第十八条第二項でによりアマチュア局の送信装置には秘匿性は許可されません。

参考までに電波法第百九条の二 第三項には

 前二項において「暗号通信」とは、通信の当事者(当該通信を媒介する者であつて、
その内容を復元する権限を有するものを含む。)以外の者がその内容を復元できないように
するための措置が行われた無線通信をいう。

という規定が有ります。

この条文は 暗語の使用と秘匿性の使用もどちらも適用されうる条文です。

「送信装置が自動的に暗号化して、受信装置が自動的に復号する設備」が秘匿性です。

RTTYやパケット通信、PSK31、SSTV等は一見すると「秘匿性機能」に見えます。
なぜなら「対応する設備が無ければ受信(復号)不可能」だからですが、
通信するための方式(副搬送波周波数や符号形式など)は一般公開されていますから
秘匿性機能ではありません。

アマチュア局の通信内容は、アマチュア局の目的から言えば

『「通信相手のアマチュア局以外の者」に聞かれても構わないもの』

であるのが国際法上の大原則ですので暗語も秘匿性も認められません。

唯一 アマチュア無線用の人工衛星の制御信号だけは別です。
これは「勝手に制御されたら他の衛星が困る」からなどの理由があります。

用語シリーズ 14回目 罰則規定

電波法令違反時の罰則規定では、もっとも注目されがちなのは電波法第百十条です。

でも、状況に拠っては電波法第百十三条(罰金30万円以下)が適用される場合が有ります。
特に同条第16号は

十六  第三十九条第一項若しくは第二項又は第三十九条の十三の規定に違反した者

とあります。
これは基本的には無線従事者免許を受けていない者が該当します。(注)
ただし、主任無線従事者の監督の下に行われる操作は除きます。

資格外操作については、電波法第七十九条により無線従事者免許の三ヶ月以内の
停止または取り消しです。

当然 状況に拠っては電波法第九章の他の条文が適用される場合も有り得ます。
重要無線通信妨害は第百八条の二などです。

注:無線従事者免許を一種類でも受けている者が、資格外操作を行った場合の扱いは
  意見が分かれるからです。

① 資格外操作であっても、その操作ができる主任無線従事者の監督の下に行われた
  操作は許可されています

② 主任無線従事者制度が適用できない状態での操作範囲逸脱は

②-1 「そもそも、その操作範囲の免許が無いのだから無線従事者免許を全く持たない者
     と同等に扱い、電波法第百十三条第16号を適用する」

②-2 「無線従事者免許を一種類でも受けていれば無線従事者なのだから、操作範囲の
     逸脱として電波法第七十九条を適用する」

ということで ②-1,②-2のどちらとするかは裁判官や電波法の識者によって意見が異なる事が有るからです。

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